シネマとライブと雑多な日々

映画やライブを見て感じたこと、考えたことを気ままに綴ります。

イギリスと日本の夫婦のあり方の違いを感じた新作映画『さざなみ』

人は、何を求めて映画を観るのだろうか? 

楽しさ? 人生を考えるヒント? 刺激?

私の場合、観る映画を選ぶ理由は、アカデミー賞を取ったからとか、話題になっているからとか、テーマに興味を惹かれたからとか、そのときどきでいろいろだけれど、多くは自分とは違うだれかに共感しながら、人生を考えるヒントがほしくて観ている気がする。

そういう意味では、この映画『さざなみ』は、人生後半戦の夫婦のあり方を疑似体験したくて観に行ったようなものだ。

映画『さざなみ』 公式サイト

ストーリーはざっとこんな感じ。

週末に結婚45周年のパーティーを開く予定の妻・ケイト(シャーロット・ランプリング)と夫・ジェフ(トム・コートネイ)。ふたりには、子どもはいないらしい。45年間、夫婦ふたりだけの生活を静かに送ってきた。そんな彼らの元に、月曜日の朝、ある手紙が届く。それは、山岳事故で死んでしまった夫の恋人が、45年以上の時を経て氷河の中から見つかったという知らせだった。遠い昔に亡くした恋人に思いを馳せる夫を静かに見つめながら、すでに死んでしまった夫の元カノへの嫉妬に苛まれる妻。本来ならパーティーを控えてウキウキする1週間だったのに、妻にとっては心の中がざわざわ、ざわざわする日々が始まる…。

観終わっての感想は。。。(ネタバレあり)

う〜ん。シャーロット・ランプリングのラストシーンの表情演技は確かにとても素晴らしいのだけど、役者さんの演技に驚嘆したくて映画館に行ったわけではないので、何とも納得感の得られない気持ちで、会場をあとにすることになってしまった。

『さざなみ』のような、すっきりと明快なラストシーンを提示しない映画は嫌いではないけれど、この映画についてはやっぱり「さざなみ」を「激流」に変えて終わるくらいの展開にもっていってほしかった。

そもそも人生後半戦の夫婦のあり方を、日本とは夫婦の形が違うイギリス映画に求めてはいけなかった。それを求めるなら、山田洋次監督の『家族はつらいよ』を観るべきだったかもと、自分の選択ミスに突っ込みを入れた。

それでも、せっかく観に行ったので、なぜそんな気持ちになってしまったのか、振り返ってみたいと思う。

まず、冒頭に予告される結婚45周年を祝うパーティー。

日本人の感覚からすると、このパーティーを開くという設定に、まずまったく共感できない。結婚10周年くらいならあるかもしれないけれど、それ以後は、夫婦だけ、家族だけでひっそり食事会するくらいではないだろうか? そこに、記念のダイヤモンドがついたりする時代もあったけれど、デフレの今はそんなCMも見かけなくなった。うちは今年銀婚式だけれど、結婚式場から記念撮影のサービス葉書が届くまでうっかり忘れていたくらい。夫婦として向き合う作業をあえて避けていると言い換えることもできるかもしれないけれど、長年暮らす中で、「夫婦」というより「家族」という感覚のほうが強くなっているのが正直なところだ。

映画サークルの友人たちに「この映画の設定どう思う?」と聞いてみたところ、「パーティー!? ないない」「夫の元彼女に嫉妬? ないない」と、パーティーだけでなく、夫の元カノに嫉妬する設定へのギモンが噴出した。

もちろんこの映画の妻の嫉妬心は、若い頃のような嫉妬心とは違うのだろうとは思う。夫の不用意な言葉や態度によって、自分の生きてきた道というか、プライドというか、そこが激しく傷ついてしまったのだと思う。

パーティーの当日。

妻のほうは夫への拭いがたい不信感を抱えて心は乱れているのに、夫のほうは記念のプレゼントを用意し、妻への感謝を誇らしげに語る。あのことがなければ、自分の人生への幸せな言葉として、満足とともに受け取れただろうに、あのことを知ってしまったあとでは、心がざわめいて素直に受け取ることができない。友人たちの前で、泣くことも、微笑むこともできずに、顔をゆがめながら笑おうとする妻の姿がただただ痛々しい。

今年70歳のシャーロット・ランプリング。心にさざなみを抱えながら、広大な原っぱを背景にたばこを吸うシーンがある。その姿がめちゃくちゃかっこよくてびっくりする。

この映画の妻の設定は、学校の先生をしていた風なので、きっとまじめで自分の感情をあらわに人にぶつけたことなどない性格なのだろうけれど、あのたばこのシーンをみてしまうと、そんな孤高のかっこよさがあるならラストシーンは夫に感情のすべてをぶつけてしまってもよかったのじゃないかと思ってしまった。

ただ、きっと一度ぶちまけてしまったならば、今回の恋人騒動で波立ったさざなみだけでなく、45年の間、封印してきた夫への愛憎が噴出して収拾がつかなくなってしまうのかもしれない。

映画はパーティーのその後をまったく描いていないので、観客は想像するしかないが、今改めて考えてみると、妻は夫に思いのたけをぶちまけて家を出て行ってしまうのではないか、と思えるくらいラストシーンのゆがんだ表情はめちゃくちゃすごみがあった。

この映画は、「イン・アナザー・カントリー」という短編小説をもとにしていて、脚色・監督は、イギリス生まれのアンドリュー・ヘイ。『グラディエーター』や『ブラックホーク・ダウン』の編集補佐を務めていたという。

主演のシャーロット・ランプリングトム・コートネイが、昨年の第65回ベルリン国際映画祭の主演女優賞と主演男優賞を受賞している。

アンドリュー・ヘイ監督の意図は、「web DICE」のインタビュー記事でどうぞ。ラストシーンについての私の想像はお門違いだったけれど、受け取り方はひとそれぞれということで。

『さざなみ』ヘイ監督「ゲイの僕が“誰かと繋がりたい心”を理解する際の問題を描いた」|結婚45年の夫婦の危機をアカデミー賞ノミネートのシャーロット・ランプリングが演じる - 骰子の眼 - webDICE

 

♯今日の1本 エドワード・ノートンの初監督作はラブコメだった! 笑えて泣けた『僕たちのアナ・バナナ』

映画を観終わった後、幸せな気分になれる映画が私は好きだ。もちろん、考えさせられるような映画や、刺激的でわくわくする映画もいいけれど、心が疲れているときはこういう映画を観たくなる。

アメリカンヒストリーX』や『ファイト・クラブ』など、観るのにちょっと構えてしまうハードな映画の出演俳優として有名なエドワード・ノートンだけれど、この初監督作(出演もしている)は、肩の力を抜いて気楽に笑える、それでいて、人生の真実が垣間見えるような話でもある。

公開当時、笑いを求めて観に行ったつもりが、思わずうるうるしてしまったりもして、一粒で二度おいしいのだ。

原題『Keeping the Faith』には、信念(信仰)を守ること、誰かを思い続けることなど、いろいろな意味が含まれているという。

主人公は、ユダヤ教のラビ、ジェイク(ベン・スティラー)とカソリックの神父、ブライアン(エドワード・ノートン)。大親友のふたりのもとに、16年ぶりに幼なじみのアナ・ライリーが現れたことから、信仰か、愛か、揺れる3人の心模様が描かれる。

ジェイクの母親がアン・バンクロフトだったり、あの『カッコウの巣の上で』のミロス・フォアマン監督が神父さんに扮していたり、この映画の脚本・原案を務めているスチュアート・ブルムバーグがチョイ役で出ていたり、楽しいしかけもいっぱい!

何より、『メリーに首ったけ』では、さえなさばかりが強調されていたスティラーにぐっとくる。アナより背は低いし、がに股だし、毛深いし、どこがいいのだろうと自問自答するが、笑顔がとっても魅力的だ。

公開当時、この映画を観たときは、アナが信仰上のカベを乗り越えて愛を選び、相手もそれに応えてくれたあとのカラオケシーンにとても感動した。とってもおかしいのに、胸にジーンときて目頭が熱くなったのだが、15年の時を隔てて観たら、同じように感動できるだろうか。

おすすめしていて何だけど、信仰と愛とキャリアというナーバスな内容を扱っているので、観るときの年齢や心持ち、環境などでいろいろ感想は違って来るのかもしれない。

そういう意味では、過去に感動した作品を見返すのはこわいのだけれど、もう一度観てどう感じるか試してみたい作品でもある。

♯今日の1本 もうひとつのアメリカをじんわり堪能できるヴィム・ヴェンダース監督の『アメリカ、家族のいる風景』

観終わったあと、不思議な感覚に包まれる。

おちぶれた映画スターの主人公は、ただただ身勝手な男なのに、なぜか憎めない。老境に達して、「自分の人生なんだったんだろう」と振り返り、30年もほっぽらかしていた母親に会いに行くことからして、超身勝手。しかも、その母親から「あんたには実は子どもがいるんだよ」と知らされ、かつて見捨てた女が住む街に、子探しに行くにいたっては、情けないを通り越してかっこわるい。

それなのに、憎めない。

その人間くさくて、情けない生き様に、「人生ってそうだよなぁ」と心傾いてしまうのだ。

この映画は、1984年の第37回カンヌ国際映画祭パルム・ドールに輝いた『パリ、テキサス』のコンビが再びタッグを組んだ作品だ。

監督ヴィム・ヴェンダース、脚本サム・シェパード

しかも、『パリ、テキサス』のときには叶わなかった、サム・シェパード主演が、見事叶って、かっこわるいサム・シェパードが堪能できる。しかも、かつて見捨てた女の役を、公開当時は私生活のパートナーであったジェシカ・ラングが演じている。彼女は年を召してても相変わらずかっこいよい…。

ハリウッド大作映画ばかり観ていると、アメリカには正義感に満ち、常に前向きな善人か、強烈な悪人しか住んでいないのではないかという錯覚に陥ることがある(最近はそんなことはないけれど…)。

一方、アメリカのインディーズ系映画を観ると、アメリカにもごくごく普通の市民が生活しているのだなぁと当たり前のことを改めて感じるが、この映画は、ドイツ人であるヴィム・ヴェンダース監督が、アメリカを撮っているので、何とも摩訶不思議な雰囲気に包まれた映画になっている。

ドイツ映画でもない、アメリカ映画でもない、ヴィム・ヴェンダースの世界がそこにある。この映画を撮った後、ヴェンダース監督は長年住んだアメリカを離れ、ドイツに戻ったのだという。

この映画が日本で公開された2006年、ヴェンダース監督が、写真家のドナータ夫人と共に尾道や直島、京都などを旅して撮りおろした写真を公開した「ヴィム&ドナータ ヴェンダース写真展」が表参道ヒルズで開催された。それを観に行ったのだけれど、とても大きなパネルに独特の色合いで焼きつけられた写真は、映画のように何とも言えない味わいだった。このときの写真は、『尾道への旅 ヴィム&ドナータ ヴェンダース写真展』として、朝日新聞社から発行されたが、現在のところ古本店などでも売り切れのよう。残念。

www.nitesha.com

 

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ゲスは男のあこがれなのか!? 最初と最後に流れるT字路sのブルースがよかった新作映画『下衆の愛』

場違いなところに来てしまった感がきっとするに違いない…。と思いつつ、なんかこういう映画が気になってしまう。

『下衆の愛』公式サイト

4月に観たい映画候補に挙げていたものの、レイトショーのみの気配だったので、観ずに終わるだろうなぁと思っていたら、公開から1週間のみ、18時10分からの上映があったので、テアトル新宿に行ってきた。

映画館入り口では、もぎりの人に並んで、背の高い外国人のイケメンさんがポストカードを配っていた。予備知識がまったくなかったので、なぜ外国の人?と頭の中に???がいっぱいになりながら、ポストカードをびりびりあけると、キャストの写真が裏表に印刷されていた。なんだ、ポストカードじゃないじゃんと残念に思いながらも、昔の映画ポスター風のポーズにおしゃれなデザインだったので、こういう特典もいいなぁと思っているところで、映画が始まった。

主人公は、売れない映画監督、アラフォーのテツオ(渋川清彦)。過去に映画祭で賞をとったことがあるものの、それを唯一の自慢に、あやしげな俳優向けワークショップで何とか小銭を稼いでいる。実家に住んで食べさせてもらっているのに、毎夜、女を連れ込むので、包丁を持った母親に追いかけ回されたり、妹から罵声を浴びせられたりしている。そんなテツオのもとに、新人女優ミナミ(岡野真也)が現れ、新作映画を撮ることへの希望がわいてくるが…。

くすっと笑えるシーンも結構出てくるのだけれど、積極的に笑う人が少なかったので笑っていいのか悪いのか、迷うシーンが結構多かった。飲み屋のシーンとか、トイレに連れ込もうとして殴られるシーンとか、足をなめる(テツオじゃないけど)シーンとか。

そのせいかどうか、テツオがただただ情けなく、本当に心根が卑しい下衆な男にしか見えなくて、なんかどんより暗い気持ちになってしまった。

今思い返すと、後半は新作を撮るという希望に向かって少しずつ変わっていくテツオが描かれるのだけど、演じる渋川さんがシブすぎるのか、監督がアラフォー男の必死さをセーブして見せているのか、それとも、テツオは希望に向かうと言いながら、ただ必死になる自分に酔っていただけなのか、よくわからなかった。

テツオより、助監督のマモル(細田善彦)のほうがより共感できて魅力的なキャラだったので、最後までテツオの下衆な映画愛には乗り切れずに終わってしまった感じだ。

最近ちまたをにぎわせているゲスというキーワード。テツオには下衆から脱皮してまっとうに生きてほしかったのだけど、まっとうに生きている人は逆にゲスのまま生きるテツオにあこがれる部分もあるのかもしれない。

監督は、『グレイトフルデッド』の内田英治。プロデューサーはアダム・トレル。もしかして、ポストカードを配っていたのはこの映画のプロデューサーだったのかも。この映画は、昨年の第29回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で上映されている。そのときのQ&Aのレポートが以下のサイトで読めるので参考までに。

2015.tiff-jp.net

 

ぜひともおすすめしたい映画というわけではなかったけれど、ラストシーンと冒頭と最後に流れるT字路sのブルースはすごくよかった。特に、T字路sのイトウタエコさんの声と歌い方。4月12日(火)と19日(火)のレイトショー後にミニライブをやるそうである。

T字路sフェイスブック

www.youtube.com

老後について考えたいときにおすすめの映画『アバウト・シュミット』&『ミドルエイジ協奏曲』

こんな老後はイヤだ!と痛切に思う『アバウト・シュミット

希望もなければ絶望もない。ジャック・ニコルソン演じる66歳のウォーレン・シュミットは、そんな人生を生きてきた男だ。

妻に「おしっこは座ってして」と理不尽な要求をされても黙って従う情けないオヤジ。

日本で97年に出版された「妻の王国」(文藝春秋)という本に全く同じエピソードがあったが、そう、シュミットの姿はそのまんま日本のお父さんにオーバーラップしてくる。本当は山のように不満を抱えているのに、不満なんかないフリをする。

この映画のキーポイントともなっているアフリカの養子に手紙を書くシーンで、唯一彼は本音を吐露するが、その本音たるやスゴイ。妻への不満タラタラ。笑いながら、おなかの中がひんやりしてくる。

でも、彼は決して妻にその不満をぶつけることはしないのだ。

大きなキャンピングカーをいそいそと買って、老後の夢を語る妻に、心では「勘弁してくれよ」と思いつつ、引きつった笑顔で同意するのである。

日常のいろんな不満にフタをして、生きる意味を問いかけることもなく、自分がどう生きたいかを考えたこともなく、平凡に生きてきたシュミット。そんな彼が、定年後、妻の突然死に見舞われ、彼女の不倫を死後に知り、娘の結婚に翻弄される中で、否応なしに自分に向き合わざるを得なくなる。これは、そんな男の物語だ。

監督・脚本のアレクサンダー・ペインは、『サイドウェイ』や『ファミリー・ツリー』の監督として有名な人。今もそうかはわからないが、この映画が公開された当時41歳の彼は、時代遅れのロン毛ながら、長身でかなりイケメンだった印象がある。この映画の前に撮った『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』は、99年度のアカデミー賞脚色賞にノミネートされている。学園の生徒会選挙を題材にしながら、アメリカの上昇志向を皮肉ったような作品とも言われ、一筋縄ではいかない監督のようだ。

今回の映画では、絶望の果てにかすかな光となるような出来事を用意している。一般的に観れば希望を暗示するラストシーン。ここで感動にむせび泣く人もいるかもしれないが、素直に感動していいのかと疑心暗鬼になってしまう。あのような偽善によって人生が救われるなら楽なもの。人はそう簡単に変れるものではないはずだ。シュミットが見せた感情の揺れは、自分への憐れみだったのではないか。

インタビューで監督は、「ラストシーンの受け取り方は観客の自由だ」と語っている。

この映画を観た13年前は、アメリカだけでなく、日本の病巣を観た気がして暗澹たる気持ちになったが、日本の家族の形も大分変わり、自分も老後にさらに近づいた今観たら、どんな気持ちになるだろうか。

 

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傷つき、絶望しながらも自分に正直に生きる男たちの姿が清々しい『ミドルエイジ協奏曲

2003年の「第11回フランス映画祭」でみたこの映画は、中年男版『スタンド・バイ・ミー』のようだ。

といっても、フランス、中年男とくれば、女が出てこないはずがない。

主人公は、アマチュアサッカーでチームメイトだった4人の男たち。愛妻だけでは満足できずに常に愛人を作るアレックス、20歳以上も年下の恋人とラブラブの53歳のジェフ、妻に不倫の告白をされ落ち込むアントワーヌ、新しい恋の予感にわくわくするマニュ…。

もう25年来のつきあいの彼らは、ひところのトレンディドラマの主人公たちのように、毎週末に集まってはつるみ、誰かにトラブルがふりかかると何をおいてもかけつける。かといって、ベタっとした友情物語が描かれているのではない。

彼らはみんな、それぞれに悩みも抱え、老いを意識する年にさしかかっているが、慎ましやかに自分の人生を謳歌しているように見える。

映画ならではの大胆なストーリー展開があるわけでもないし、ヒーローが描かれているわけでもない。でも、心にじんわり染みてくるのである。

サッカーくじを買うためにマニュの店、総菜屋に集まるシーンはとくに楽しい。店の狭いキッチンのテーブルでこそこそと、パリが勝つだの、マルセイユが負けるだの、子どものように言い合っているシーン…。

そして、4人の男たちが並んで海を眺めるシーンの何とも言えない彼らの表情がいつまでも心に残る。

この映画は、結局、日本では公開されたなかったみたいで、DVDとか動画配信もないようである。残念。

4月公開の新作映画から、観たい映画をピックアップしてみた

今日はエイプリルフール。

いつも映画選びのときにお世話になっている「映画.com」が、やっちまったもよう。なんでも、『オデッセイ』の宣伝ビジュアルで、最近のゴシップネタをパロディにしたコンテンツを作ったところ、批判が殺到して謝罪することに。。。

「映画.com」エイプリルフールが物議 ゴシップネタを扱う内容に批判も ※追記あり - ねとらぼ

ここ最近、企業や団体がエイプリルフールネタをアップすることが恒例となっているけれど、日本にはあまりなじまない行事のような気がする。

さて。

4月に公開される映画をざっと数えたら86本もあった。その中から、ざっくり観たい映画をピックアップしてみた。

★韓国の『怪しい彼女』をリメイクした日本版『あやしい彼女』4/1公開

★3D映像の大胆な性描写ってどんなの!?と興味がわく、ギャスパー・ノエ監督の『LOVE 3D』4/1公開

★ヒップホップグループ「N.W.A」のアイス・キューブやイージー・Eらのインタビューなどが入ったドキュメンタリー映画『N.W.A&EAZY-E:キングス・オブ・コンプトン』4/2公開

★夢を諦めきれないながらも、自堕落な日々を送る中年映画監督の映画愛を描いた『下衆の愛』4/2公開

★第88回アカデミー賞で母親役のブリー・ラーソンが主演女優賞を受賞した『ルーム』4/8公開

★『猟奇的な彼女』『僕の彼女はサイボーグ』のクァク・ジェヨン監督の『更年奇的な彼女』4/8公開

シャーロット・ランプリング(懐かしい!)が、45年連れ添った夫の過去の恋愛に嫉妬する妻を演じる『さざなみ』4/9公開

ケビン・ベーコンが演じる悪徳保安官を観てみたい『COP CAR コップカー』4/9公開

★1989年に日本初公開されたデンマーク映画『バベットの晩餐会 デジタル・リマスター版』4/9公開

★第88回アカデミー賞で作品賞、脚本賞受賞に輝いた『スポットライト 世紀のスクープ』4/15公開

パレスチナに暮らす青年オマールが、秘密警察にとらえられ囚人として生きるか、仲間を裏切ってスパイになるかを迫られるパレスチナ映画『オマールの壁』4/16公開

★予告編を観たらおもしろそうだった、老齢の作曲家が高級ホテルで自身の人生を悩む『グランドフィナーレ』4/16公開

★女性版の狼男? デンマークを舞台にした『獣は月夜に夢を見る』4/16公開

IKEAのせいで店を失い、妻にまで先立たれた男がIKEAの創業者を誘拐してしまうノルウェー映画『ハロルドが笑う その日まで』4/16公開

★レオ様が、第88回アカデミー賞でやっと主演男優賞をもらえた『レヴェナント 蘇えりし者』4/22公開

大泉洋主演のゾンビが出てくるパニックホラー映画『アイアムアヒーロー』4/23公開

ホロコーストの真実を知らせるために、ナチスの親衛隊将校だったアイヒマンの裁判を撮影し、放送しようとするテレビマンを描いたイギリス映画『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』4/23公開

★中国のジャ・ジャンクー監督が3つの時代を通して人間を描いた『山河ノスタルジア』4/23公開

★『建築学概論』がよかったアイドルグループmissAのスジ主演の『花、香る歌』4/23公開

★上の句がおもしろかったので、期待大の日本映画『ちはやふる 下の句』4/29公開

デンマークの人気レストランを追ったドキュメンタリー映画『ノーマ、世界を変える料理』4/29公開

3月に映画館で観た新作映画9本! イチオシは!?

ピックアップリスト15本の中で、観られたのは4本

先日、3月に観たい新作映画を15本ピックアップしてみたものの、ピックアップした中で観られたのは、わずか4本。

3月公開の新作映画から、観たい映画をピックアップしてみた - シネマとライブと雑多な日々

できるだけたくさんの映画を観るため、1100円で観られるサービスデーに、同じ映画館または近隣映画館で2本観る(交通費節約のため)というしばりを自分に課しているのだが、上映スケジュールとにらめっこして希望の映画を組み合わせるのがかなり難しい。特にシネコンなどでは、うかうかしているとすぐに上映回数が減ってしまうので油断大敵。

当初の予定とは違ったけれど、3月に映画館で観た新作映画9本を紹介! 

 【3月7日(月)、イオンシネマではしご】

◉『ヘイトフル・エイト』…おすすめ度★★★(どうせ観るなら映画館で)

cinemato-iroiro.hatenablog.jp

 

『マネーショート 華麗なる大逆転』…おすすめ度★★(DVDでいいかも)

cinemato-iroiro.hatenablog.jp

 

【3月9日(水)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーではしご】

『ドリームホーム 99%を繰る男たち』…おすすめ度★★★(人間ドラマを観たいなら)

http://dreamhome99-movie.com/

マネー・ショート 華麗なる大逆転』を観て「映画で金融用語について学ばされてもねぇ」となんかモヤッとし、その反動で観に行ったこの映画。〜アンドリュー・ガーフィールド演じる主人公は、母親と娘と一緒に暮らす家を持っていたものの、仕事先の賃金不払いでローンが払えなくなり、家を失ってしまう。家族を養うため、自分の家を取り上げた不動産ブローカーのもとで働くことになるが、その仕事は倫理を大きく逸脱したものだった! 主人公は、そのことに悩みながらもどんどんのめり込んでいくことになるのだが…。どちらもリーマンショックを扱っている映画だけれど、こちらのほうが人間ドラマとして描いているので、自分だったらどうするだろうといろいろ考えさせられる内容だった。

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 『これが私の人生設計』…おすすめ度★★★★(濃いイタリア男性が楽しめる)

cinemato-iroiro.hatenablog.jp

 

【3月16日(水)、横浜ブルグ13で】

◉『幸せをつかむ歌』… おすすめ度★★★(意外と元気がもらえなかった)

cinemato-iroiro.hatenablog.jp

 

 【3月18日(金)、恵比寿ガーデンシネマで】

◉『マジカル・ガール』… おすすめ度★★★★(ダークな世界が好きならぜひ)

cinemato-iroiro.hatenablog.jp


 

 【3月23日(水)、横浜ブルグ13ではしご】

リリーのすべて』…おすすめ度★★★(美しいけれどちょっともやもや)

http://lili-movie.jp/

世界で初めて性別適合手術を受けたリリー・エルベとその妻、ゲルダの愛の物語。妻ゲルダ役のアリシア・ヴィキャンデルアカデミー賞助演女優賞を受賞して話題になった。〜画家として活躍していた夫(エディ・レッドメイン)が、ふとしたきっかけで自分の中の女性性に気づき、女性になりたいと強く望むようになる。そんな夫に戸惑いながらも、懸命に支えようとする妻…。どんどん女性らしくなっていく夫に対し、めちゃくちゃすごい包容力で、たくましく夫を支えようとする。この時代に性別適合手術を受けることはとても大変なことだったと思うのだけど、この映画はあくまでも愛の物語として進んでいくので、後半は妻の切ない愛に涙が流れる。でも、どんどん自分の殻に閉じこもり、自分の思いに固執していく夫に対して、自分のことより相手のことを優先する妻の愛が一方通行のように見えて、夫婦愛というより親子愛のようだなぁと思ったりして、何とも感想の述べにくい作品だった。

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ちはやふる 上の句』…おすすめ度★★★★(元気がもらえる)

http://chihayafuru-movie.com/

競技カルタの試合後に白目向いて倒れちゃう広瀬すず演じるちはやがかわいかった。ぴちぴちした若い子たちが出ている青春映画はいいなぁと改めて思う。もう若くないけれど、老人讃歌の映画より、未来を切り開く青春映画を観たほうが元気が出るなぁと実感した次第。原作漫画は読んでいなかったけれど、主要人物のキャラがめちゃくちゃ立っているので物語にすんなり入っていける。特に、ちはや(広瀬すず)の幼なじみ役、真島太一を演じる野村周平にキュンとする。イケメン風なのにずっこけてて、爆笑というよりくすっと笑えるシーンがいっぱい。名前は知っていたけど、演技を観るのは初めてだったので今後要チェックだ。競技カルタのシーンはスローモーションをうまく使って、すごくエキサイティングなシーンになっている。知的スポコン映画と名付けたい。下の句となる後編は、4月末公開されるそうだが、上の句だけでも十分楽しめるし、次も観たくなる。

 

【3月25日(金)、恵比寿ガーデンシネマで】

『最高の花婿』…おすすめ度★★★★(笑って、心温まる)

http://www.cetera.co.jp/hanamuko/

2014年にフランスで公開され、国民の5人に1人が観たという映画。ロワール地方に大邸宅をもつヴェルヌイユ夫妻には4人の娘(そろいもそろって美人)がいるのだが、 長女はアラブ人、次女はユダヤ人、三女は中国人と結婚。末娘には、カトリック教徒のフランス人と結婚して欲しいと願っていた夫妻のもとに現れた婚約者は、コートジボワール人だった…。この末娘の結婚式をめぐって展開する、双方の家族のやりとりや、婿4人のシニカルなやりとりが爆笑もので、映画館が何回も笑いに包まれた。移民が多いフランスならではの作品だと思うし、昨年テロがあったことを思うと笑いながら複雑な思いもわき起こる。それでも、国籍が違う4人の婿が、反目しながらも家族としてひとつになっていく姿に、とてもあたたかい気持ちになる映画だった。