シネマとライブと雑多な日々

映画やライブを見て感じたこと、考えたことを気ままに綴ります。

2006年映画

♯今日の1本 2006年のマイベストワン映画『ゆれる』

女性である西川美和監督が描く、男兄弟の心の「ゆれ」。 女だから、男だから、という文脈で語りたくはないけれど、この映画は監督の女性としての感性がとっても生かされた作品だと思う。 そもそも、こんな深くて、とらえどころのない心の「ゆれ」を作品にす…

♯今日の1本 もうひとつのアメリカをじんわり堪能できるヴィム・ヴェンダース監督の『アメリカ、家族のいる風景』

観終わったあと、不思議な感覚に包まれる。 おちぶれた映画スターの主人公は、ただただ身勝手な男なのに、なぜか憎めない。老境に達して、「自分の人生なんだったんだろう」と振り返り、30年もほっぽらかしていた母親に会いに行くことからして、超身勝手。し…

戦争について考えるとき、忘れられない2本のドイツ映画『ヒトラー〜最期の12日間〜』と『白バラの祈り〜ゾフィー・ショル、最期の日々』

人間的な面を持っていたからこそ余計に恐ろしい…。『ヒトラー〜最期の12日間〜』 1945年4月、ベルリンのドイツ首相官邸。 じわじわと迫りくるソ連軍の攻撃によって、ベルリンは収拾のつかない修羅場に陥って行く。ヒトラーは、首相官邸の地下要塞に側近と愛…

おしゃれでポップ、だけどベタな演出にムフフと笑えるイタリアの新作映画『これが私の人生設計』

イタリアの小さな田舎町で育った主人公のセレーナが、建築家として世界各地で華々しく活躍するも、「何か違う。。。」と思って故郷に帰国。 ローマで建築家として働こうとしたものの、イタリアの建築業界は昔ながらの男社会のままだった…。 さあ、どうする……

#今日の1本 原作本を超えた爽快感が味わえる「魂萌え」 

桐野夏生の原作本は衝撃的だった。「夫の浮気」や「財産を狙う子ども」という題材はよくある話だろう。それが、彼女の手にかかると、ドロドロの怨念の世界へ行くのではなく、59歳の女性の凄みのある、それでいて一種さわやかな成長物語へと結実する。 夫に10…