シネマとライブと雑多な日々

映画やライブを見て感じたこと、考えたことを気ままに綴ります。

ドキュメンタリー映画『シリア・モナムール』が今夏公開されるそう…

朝、Twitterをチェックしていたら、以下の記事が紹介されていた。

www.huffingtonpost.jp

この記事を読んで思い出したのが、昨年「山形国際ドキュメンタリー映画祭2015」で観た『銀の水ーシリア・セルフポートレート』。映画祭で観た作品については、感想をTwitterでつぶやいたりしていたのだけど、この映画については、描かれている現実が重すぎて、何も語れない、語る言葉もないという心境だった。

この映画は、シリアからフランスに亡命中のオサーマ・モハンメド監督が、シリアのホムス市にいるクルド系シリア人の女性映像作家、ウィアーム・シマヴ・ベデルカーン監督と共同で作った作品だ。

モハンメド監督は、YouTubeにアップされるシリアの悲惨な状況を見ながら、フランスにいる自分に何ができるのかと、自責の念を抱いていた。そのときに、シリア国内で活動するシマヴ監督と知り合い、「もしあなたのカメラがここにあったら、何を撮る?」と問いかけられたことで、この映画の制作が始まったと、映画祭のパンフレットには書いてあった。

この映画には、市民が凄惨な拷問を受けるシーンや、内戦によるたくさんの暴力、内戦によって破壊された街が次々と映しだされる。その映像は、シマヴ監督が撮ったものだけでなく、そこに住むたくさんの人々が自分のスマートフォンで撮った映像も含まれている。

シリアがなぜ、こうなってしまったのかについては、あまりに複雑すぎて私には語る言葉がない。モハンメド監督自身は、政府軍に対して革命を起こしたシリアの青年の立場に立っているわけだけど、映画を観て感じたのは、何かに対しての批判というよりも、シリアの外にいるモハンメド監督自身の自責の念の強さだ。

シリアの悲惨な状況と対比するように、遠くフランスの地でもんもんと思い悩む監督自身の姿が挿入される。映画を観た当初は、こういったシーンは必要ないんじゃないだろうか、と思ったりもしたが、今思い返すとそういったシーンがあったからこそ、のどに刺さった小骨のように、この映画を忘れさせなくさせているのかも、と思ったりもする。

この映画は、タイトルを『シリア・モナムール』と変えて、今年の夏頃公開されるとのこと。

映画『シリア・モナムール』 (@syriamonamour) on Twitter

https://www.facebook.com/syria.cinema/

【追記】

映画『シリア・モナムール』の公式サイトが3月1日にオープンしたそうです。

www.syria-movie.com