シネマとライブと雑多な日々

映画やライブを見て感じたこと、考えたことを気ままに綴ります。

♯今日の1本 サッカーファン必見の『ベルンの奇蹟』

アディダスの創始者はアディ(アドルフ)・ダスラーという名前である。

思わず「へぇ〜」ボタンを押したくなるようなネタのこの話(古すぎる!)、2005年公開のこの映画を見るまではその事実を全く知らなかった。

1954年、サッカーW杯の決勝戦で、西ドイツとハンガリーが戦ったとき、雨が降った後半戦で西ドイツはアディ・ダスラーが開発した取替え式スタッド装着のシューズを履いて、見事に逆転優勝したという。サッカーファンなら思わずにんまりしてしまうようなこのエピソードも、この映画にはバッチリ挿入されている。

思わず映画の本流から外れたところから話を始めてしまったが、この映画は、決してアディダス創始者の偉業を語る映画ではないのでご注意。

この映画は、1954年に西ドイツがサッカーW杯で優勝した事実を重要なモチーフにして、初戦から決勝までをリアルな映像で再現しつつ、そこに戦争後の捕虜生活で傷ついた男とそれを見守り、新たな絆を結ぶ家族の物語を絡めている。

サッカー経験者の監督、俳優で作られた見事なサッカー愛映画であり、父子、家族の絆を描いた普遍的な物語にもなっているところがすごい。

W杯決勝戦の再現は、観客席こそCGを使っているようだが、実際の試合シーンは巧みなカメラワークで作り物でないサッカーの迫力と高揚感を見事に伝える映像になっている。

ヨーロッパや南米の映画を見ていると、子どもが空き地でサッカーをするさりげないシーンが挿入されていることが多い。この映画でももちろん出てくる。

映画の時代は、第二次世界大戦後、まだ間もないころ。主人公の少年が、近所の空き地で友人たちと蹴るサッカーボールは、小汚い布を何重にも巻いて球状にしてひもで縛っただけのお粗末な物だった。それでも、子どもたちは2チームに分かれて熱い戦いを繰り広げる。球状の物体さえあればできる! 

そんな単純なスポーツの底知れぬ魅力をも語っている映画でもある。

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