シネマとライブと雑多な日々

映画やライブを見て感じたこと、考えたことを気ままに綴ります。

予備知識を入れるか入れないか!? 新作映画『オデッセイ』&『スティーブ・ジョブズ』のはしごで感じたこと

火星サバイバルに集中してほしかった『オデッセイ』

映画館に行くときは、なるべくなら予備知識を入れない派だけど、そもそも予備知識がないと、その映画を観ようとも思わないわけで、何とも悩ましい。

そういう意味では、大ヒット上映中の『オデッセイ』は、火星にひとり取り残されてしまった男が地球に還ろうとする物語ということで、「堅苦しそう、難しそう、暗そう」と勝手な妄想が広がり、当初は観に行くつもりもなかった映画だ。

『エイリアン』や『グラディエーター』『テルマ&ルイーズ』など、私が好きなリドリー・スコット監督の作品だということも後から知った。

じゃ、何で観に行こうかと思ったのかというと、Twitter経由で、町山智浩さんが映画音楽について解説している内容を知ったからだ。なんでも、宇宙サバイバル映画でありながら、劇中では、70年代のディスコ音楽が随所に流れるというのだ。船長が置いていったCDという設定で。。。それを知って俄然興味がわいてきて、観に行った次第。

www.foxmovies-jp.com

で、映画が終わったあとにまず思ったのは、もっとわくわくハラハラしたかったのに、全然わくわくハラハラしなかった〜(1シーンをのぞいて)という、残念な感想である。

私の敗因は、もしかしたら、ディスコ音楽の使われかたについて、妄想が膨らみすぎたからかもしれない。観ているほうのわくわく感を盛り上げるためにもっと盛大に使われると思っていたら、思ったより控えめで、クスッとシニカルに笑えるくらいのおしゃれな使われ方だった。

勝手に妄想を膨らませて期待値を上げてしまったのだろうか。

マット・デイモン演じる主人公が、サバイバルのためにじゃがいもを栽培しようとしたり、通信環境を改善しようと奮闘する姿はそれなりにおもしろかった。火星でのサバイバルはおもしろいのに、頻繁に地球とのやりとりが出てきて、その関係者というか登場人物が多すぎるので、なんだか散漫な感じになってしまっているのだ。

とりわけびっくりしたのは、救出計画が頓挫しそうになったときに、急に現れる支援者。いくら中国市場が大切だからって、その人物が登場する必然性をまったく描かずに、とってつけたように出てきたことにびっくり!を通り越して興ざめしてしまった。

そんなこんなで、予備知識があったから、内容についてイマイチと感じてしまったのか、予備知識がなくてもイマイチと感じたのかはわからないけれど、70年代のディスコ音楽の使われ方は斬新だったので、ぜひぜひ町山さんの解説を聞いてほしい。聞くなら映画を観た後がおすすめだが…。

町山智浩 たまむすび:映画「オデッセイ」(リドリー・スコット監督)を解説 - YouTube

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会話劇なのに躍動感にわくわくする『スティーブ・ジョブズ

映画館で映画を観るときは、たいていはしごをするのだけど、交通費節約のために同じ映画館または1本目の近くの映画館で観ることにしている。そうすると、スケジュールを組むのが結構大変で、1本目は観たい映画だけど、2本目は「時間がたまたま合っていたから」という、消極的な理由で選ぶことも多い。『オデッセイ』を観た日にはしごした、『スティーブ・ジョブズ』はまさにそういう映画だった。「会話劇だから退屈だった」「寝てしまった」などのレビューを見かけていたので、期待値は結構低かった。

stevejobsmovie.jp

ところが、予想は裏切られた。

冒頭から、マイケル・ファスベンダー演じるスティーブ・ジョブズと、マーケティング担当のジョアンナを演じるケイト・ウィンスレットのやりとりがすごくて、一気に映画の世界に惹き付けられた。

スティーブ・ジョブズというと、新製品発表のプレゼンテーションが有名だが、映画では、1984年、1988年、1998年のプレゼンテーションの舞台裏が描かれる。しかも、肝心のプレゼンテーションは描かれず、直前40分間に起こるさまざまなトラブル、諍い、議論が描かれるのだ。

演劇なみの会話量なので退屈なのかと思いきや、カメラは登場人物を追ってあわただしく動き回るので、サスペンスのような緊迫感に満ちている。途中、認知するしないでもめていたという娘・リサとのやりとりも出てきて、緊迫感はさらに高まる。

監督は、『トレインスポッティング』のダニー・ボイル。脚本は、『ソーシャル・ネットワーク』のアーロン・ソーキン

予備知識なしで観たので、最初、ケイト・ウィンスレットの姿が地味すぎて、誰が演じているのかわからなかったほど。それでも、ものすごい早口で交わされる会話の数々、アップで映し出される表情の魅力でただものではないとわかったけど。。

とにかく、『オデッセイ』で映画的魅力って何かな、もっとわくわくしたいなと感じていたあとに観た『スティーブ・ジョブズ』は、舞台も、テーマも地味だったけど、俳優の魅力、演出の魅力、脚本の魅力にあふれてて、1本目でちょっとがっかりしていた気持ちが吹き飛ぶほど、わくわくした気持ちになれた。

これは、期待値が低かったからだろうか…。

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