シネマとライブと雑多な日々

映画やライブを見て感じたこと、考えたことを気ままに綴ります。

♯今日の1本 濃密でベタなアジアンテイストがくせになる『オールド・ボーイ』

2004年のカンヌ国際映画祭で、『華氏911』に次ぐ賞であるグランプリを受賞した作品。日本の漫画を原作に作られた韓国映画である。

理由もわからず15年間監禁され、ついに解放された男が、誰に、何の理由によって監禁されたのかを突き止めようとする復讐の物語。

R−15指定になるだけあって、かなり屈折した愛の物語が繰り広げられる。思わず目をそむける痛いシーンあり、うるうる、じわじわくるシーンもあり。

この手の話、好みがわかれるところだが、私はかなり好みのタイプ。

でも、今回の、ラスト近くで明かされる真実は人間の倫理感を大きく揺るがすタイプのものなので、手放しで賞賛することがちょっとできない。物語としての完結度は高いが、心をわしづかみにされる一歩手前で、妙に冷めてしまうといった感じだ。

原作が漫画なので、リアリティを持たせるのはかなり難しかったのではないかと思う。

そういう意味では、主演のチェ・ミンシク、対するユ・ジテの功績は大きい。かなり荒唐無稽、破天荒な話だけに、2人の男の「想い」が観客の心を突くか否かは微妙で、ただの陳腐な物語になりかねなかったと思う。

冒頭では本当にチェ・ミンシク?というほど、ただの小太りのサラリーマンおじさんだった彼が、15年間の監禁後、ワイルドというには野性的すぎる山あらしのような風貌となってユ・ジテと対決するシーンには、2人の「想い」がズンと胸に伝わる真実の瞬間が確かに垣間見えて、思わずぐっときてしまうのだ。

しかし、これは人生観や常識を覆すような挑戦的な物語として観るべきではなく、単なるエンターテイメントとして楽しむべきだと思う。

荒唐無稽な話の中に感じる一瞬の真実。スピード感のある展開に目を奪われながら、それが妙に心に残る作品だった。

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